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金澤義春物語第4部・私もホームレスだった(エピソード3からの続き)

応援演説で資金作り


 あァ土地が欲しいという思いは、私の行動に拍車をかけた。当時の川崎地区は広々とした畑だらけだった。私は、目星をつけた場所へノコノコと出かけていって、いきなり言った。
 「土地を30坪ほど貸してくれませんか」
 地主は妙な顔をして私をしげしげと見て言った。

 「あなた若いのに、土地などを借りてどうするのかね」

 「家を建てるんです。一体土地を借りる値段はどのくらいするんですかね」
 「坪3千円が相場だよ」

 「えッ、3千円ですか」



 ちょっと驚いてみせて、
 「じゃあ、またあとで来ます……」
 と、その場はひとまず引き揚げた。
坪3千円とすると、30坪で9万円、これは大変だ……というのが実感だった。しかし、なんとしても欲しい、私は金を作る事を真剣に考えた。


 そんな矢先、ちょうど県会議員の選挙が近づいていた。よし、この選挙で稼ごうと思った。というと、何か悪巧みでもするように聞こえるかも知れないが、私が考えたのは、応援演説のアルバイトである。



 私には福島県の弁論大会で第3位に入った実績がある。その時の演題は、 『今後の農政はいかにあるべきか』 、これはラジオ放送にもなった。そのとき私は自分の声が他人の声に聞こえてびっくりしたのを覚えている。ま、それはともかく演説には自信があった。

 早速、私は某候補者の選挙事務所へ行って自分を売り込んだ。無茶と言おうか、勇気があると言おうか、土地欲しさがそこまで私を動かしたと言おうか、思えば、そうした猪突猛進型が私の本体と言えるかも知れない。
その時私は23歳。その気迫が私を今まで支えてきてくれたのかも知れない。


エピソード5に続く
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