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金澤義春物語第10部・ポイ捨て禁止条例が決まるまで(エピソード9からの続き)

罰金にまた異論



 ほらまたはじまったと思った私は、声を大きくして言った。
「これは罰金を取るという項目をいれなければ何にもならない。罰金こそが強力な歯止めになるのだ。ぜひ条例の中に入れていただきたい」
私はねばりにねばった。その効果はついにあがった。



 罰金を取るとなると、市だけではなく各方面と連絡を取らなければならない。たいへん煩雑な事務を克服して、6ヶ月という異例の速さでスピード可決され、平成7年7月1日から施行の運びとなったわけである。
 正式には前記のように
『飲料容器等の散乱防止に関する条例』 というが、一般には “ポイ捨て禁止条例” というわかりやすい名称になって、この川崎を皮切りに全国に広がっていった。



 さて、問題は罰金であるこの条例に違反すれば2万円以下の罰金を取られるわけだが、私の狙い通り、さすがに罰金をとられてはたまらないと、ポイ捨てはすくなくなった。
 私は、条例施行直後、ホームレスの諸君にカメラを渡して
『ホームレス監視隊』 をつくり、ポイ捨ての現場写真を撮らせたりいた。
 しかし、これも、私たった一人の試みである。なぜ、行政は乗り出さないのか。私のフトコロ具合にも限りがある。考えてみると、行政は、条例はただの
“飾り物”。 最終的には人々のもらるん期待するしかないと、ことなかれ主義に “落ち込んで” いるのが、見え見えであった。

 この上は、一日も早く待たれるのは、ガムの改造である。呑みこめるガムを作ってもらいたいと願うしかないのかも知れない。
 しかし、この条例を評価してくれた人も多く、私は心から感謝している。中でも小田原市長の小澤さんには手を合わせたものだ。

 小田原市は、指定都市だから、小澤市長の計らいで事が進められる。新聞報道やテレビでこの川崎のポイ捨て禁止条例のいきさつを知った小澤市長が早速議会にかけたら、全員手を叩いて賛成だったいう。
 小田原といえば観光地だ。ポイ捨ての本場だ。すぐ条例となったのは当然と言える。

「いやあ、アイデアは川崎からそっくり頂いたんですよ。小田原は指定都市ですから、川崎より早く施行になったわけで、先取りしてすみませんね……」
小澤市長は、冗談を交えてそう言うと私の手をしっかりと握ってくれた。

エピソード11に続く
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